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里親という選択肢

殺処分ゼロを目指す思い

里親イメージ

日本国内で飼育されているワンちゃんの数は987.8万頭(2016年、※1)と推計され、近年緩やかに減少傾向にあると言われています。
ただ、飼育頭数の減少のなかでもミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル、柴犬など純血種を飼育する割合は増加しており、根強い人気は健在です。

一方で、保健所や動物愛護センターなど自治体が運営する施設に収容されるワンちゃんもいます。
その多くは、飼育モラルに欠ける方が起こす飼育放棄、高齢を迎えた飼い主の飼育困難、多頭飼育の崩壊など、飼い主による管理不全を理由に収容されているのです。

成熟個体の収容が全体の86%

2015年度(平成27年度)の調査(※2)によると、行政施設へと収容されたワンちゃんは46,649頭。
飼い主から施設に収容されたワンちゃんが14%(6,462頭)、所有者不明の状態で施設に収容されたワンちゃんが86%(40,187頭)を数えます。このうち、全体の8割以上は離乳を済ませた成熟個体であることが特徴的です。

成熟個体が多くなる背景としては「迷子犬」「捨て犬」の存在が挙げられます。

迷子犬については、2015年度に行政施設から飼い主のもとへと返還されたワンちゃんが13,220頭を数えることからも、飼い主のもとから逸走して迷子となり、保護・収容されるワンちゃんが相当数いることが分かります。

そして捨て犬については、「純血種人気の高さ」と「幼齢個体の収容割合が少ないこと」から、野生の環境で
自然に繁殖して産まれた子犬が少ないと推測できるため「何らかの理由で、人の手により捨てられた」と考えることができます。

行政施設に収容されたワンちゃんは一定期間保護され、元の飼い主や里親を探すことになります。

【行政施設に収容された犬の処遇(2015年度)】
  • 返還数:13,220頭(うち幼齢個体85頭)
  • 譲渡数:16,417頭(うち幼齢個体4,780頭)
  • 殺処分数:15,811頭(うち幼齢個体3,449頭)

2015年度、行政施設では3万頭近くのワンちゃんが返還・譲渡された一方、1万5千頭以上のワンちゃんが殺処分となりました。ワンちゃんが生を全うするために、殺処分数をゼロにするための行動が求められています。

ドイツ・スイスにおける動物保護の取り組み

「ペット先進国」と言われるドイツ・スイスでは、ワンちゃんの殺処分が原則行われておりません。背景には「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」としてワンちゃんを育てる飼養文化の定着が考えられます。

ドイツ・スイスや、オランダなどEU(欧州連合)諸国のなかには「犬税」を導入している国があります。納付された犬税は、各自治体内におけるワンちゃんのトイレやトイレ袋設置などの環境整備のほか、飼い主の飼養マナーについての教育や相談に関する費用、所有者のわからないワンちゃんの保護などの目的に使われます。

犬税については、2頭以上や指定されている危険種を飼育する際には高い税率を課している自治体もあり、安易な飼育を防ぐ役割も持ち合わせているのです。

他方では、動物愛護団体が「ティアハイム」と呼ばれる大規模なペットの保護施設を設置。
広大で清潔な環境のもとで、保護された動物たちが暮らすティアハイムは、保護されたワンちゃんの里親を探す場としても機能しており、保護活動において重要な役割を担っています。

このように動物保護に関する先進的な取り組みは、国や自治体・保護団体・国民それぞれが持つ愛護精神に支えられ、そして育まれているのではないでしょうか。

日本でも着実に育まれている愛護精神

日本国内においても、動物を愛護する精神の高まりが少しずつ形となり現れてきています。

神奈川県動物愛護センターでは、2013年度(平成25年度)に「犬の殺処分ゼロ」を初めて達成。2015年3月には、殺処分用の焼却炉と煙突を撤去するなどの取り組みを続け、現在も殺処分は行われておりません(※3)。

全国的に見れば、1989年(平成元年)に約687,000頭だった殺処分数は、2015年には15,811頭と減少。未だ殺処分が続く辛い現状は続いていますが、年々着実に改善を見せています。

殺処分数を減少させている原動力は、日々精力的に動物保護の活動へと取り組む動物愛護団体・ボランティアなど「保護活動者」の存在です。

保護活動者は、

  • 収容期限の近づいた動物の保護
  • 保護犬の健康状態のチェックならびに診療機会の提供
  • 不妊去勢処置の実施
  • 人に馴化させるためのトレーニング
  • 多頭飼い崩壊現場からのレスキュー
  • シェルターの設置
  • 広範にわたる里親探し(譲渡活動)

など、各人の善意に支えられ活動の幅はとどまることを知りません。

保護活動者の方々による不断の努力は、日本における動物愛護における関心の着実な高まりを示し、愛護精神の成長を支えているとも言えます。

日本でも広がる里親探し

「ペット先進国」と呼ばれるドイツやスイスなどの国において、ワンちゃんを迎える一般的な方法は「ブリーダー直販」、そして「里親となり引き取る」というふたつの方法です。

近年では、日本でも「里親探し」の活動が広がりを見せつつあります。
定期的に開催される譲渡会のほか、里親を探すためのマッチングサイトなどWebサービスを活用した譲渡活動の動きも出てきました。

譲渡会で里親を待つ保護犬は様々な個体がいますが、成犬の数が比較的多いと言えます。
しかしながら、子犬の人気が高い日本では「成犬を迎えよう」という意識はもとより、成犬を迎えるための機会も子犬と比べて多くないように思います。

「子犬」と呼ばれる時期は生後わずか1年足らずです。とすれば、子犬だけではなく成犬を迎える意識も高まれば、日本における動物の飼養文化は豊かなものへと大きく変化するのではないでしょうか?

現に、欧米において成犬を迎えることは珍しくありません。

成犬だからこそ、のメリットもある

販売されているワンちゃん・保護されたワンちゃんに関わらず、成犬には「子どものころからしつけができないため、なついてくれないのでは」という声があります。

ですが、一方では「成犬だからこそ持っているメリット」もあります。
成犬は、子犬と比べ性格形成が進んでおり、体も成長しているため子犬と比べ健康面も安定していることが多いとされています。特にワンちゃんを初めて飼う方にとっては、飼育の不安を軽減できる大切なポイントではないでしょうか?

譲渡会にいる成犬についても、保護されたワンちゃんがそのまますぐに里親を募集するわけではなく、心身ともに譲渡可能な状態と判断された個体が参加しているのです。

成犬にとっては、慣れた環境から新たな環境へと身を移す訳ですから、落ち着くまでには少し時間がかかるかもしれません。しかし、毎日の生活を通じて互いを知り、信頼関係を築いていくことで、少しずつ新生活にも慣れていくでしょう。

愛犬にかける愛情の大きさは、子犬も成犬も差はありませんよね?

●成犬を飼いたいと思ったら?  成犬を飼うことのメリット・デメリット

「殺処分ゼロ」を目指す思い

みんなのブリーダーを運営する、株式会社シムネットでは「ペットにやさしい共生社会の発展に貢献する」ことを経営理念として、事業を展開しています。

心からワンちゃんを迎えたい方々と、熱心にワンちゃんを育てる優良なブリーダーの橋渡し役となる「みんなのブリーダー」、大切なワンちゃんの健康を考えたフードや快適な生活を実現するペット用品を販売する「みんなのペット健康専門店」などの各グループサイトに加え、2017年には里親を募集する方と希望する方をつなぐ里親マッチングサイト「hugU」(ハグー)をオープンしました。

すでにみんなのブリーダーでは成犬の取り扱いをスタートしていましたが、hugUのオープンにより、ワンちゃんが終生幸せに暮らしていくためのサポート役をより広く担えると考えています。

どんな動物も幸せになれるように。
動物の命を尊重し、大切にできる豊かな社会の実現を目指して、これからもさまざまな取り組みを行っていきます。

「動物の殺処分のない、豊かな社会をつくる」という思いは、私たちも同じです。

【関連グループサイト】
里親を募集する方と希望する方をつなぐ里親マッチングサイト
「hugU」(ハグー)https://hug-u.pet/
【参考資料】
※1:一般社団法人ペットフード協会「平成28年 全国犬猫飼育実態調査」内
「Ⅱ.主要指標 サマリー - 犬猫 現在飼育率、平均飼育頭数、飼育頭数(拡大推計)」より
http://www.petfood.or.jp/data/chart2016/2.pdf

※2:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」より
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

※3:神奈川県動物保護センター「動物保護センターの沿革」より
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f80192/p101874.html

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